イノベーション(新結合)の5類型とデザインの関わる範囲

デザインとイノベーションの関係をビジネスの中で位置づけると、研究・開発された要素に対して意匠という「かたち」を与えることで世の中に受けいられるように社会実装(イノベーション)に介在することがデザインである、と前の記事ではまとめました。

デザインは「発明とイノベーションを結ぶのもの」ですが、今度は「イノベーション」という単語が抽象的な感じがしてきました。

イノベーションという言葉を最初に使ったのは、シュンペーター(Joseph A. Schumpeter)です。

1939 年に出版された『景気循環論(Business Cycle: A Theoretical, Historical and Statistical Analysis of the Capitalist Process)』の中で、「新結合」を実現することが「イノベーション」であると述べ、以前の著作『経済発展論(独語 2版)』でまとめた新結合の5類型とイノベーションという言葉を結びつけました。

シュンペーターにとって,そもそも結合とは,個々の生産活動を別の表現に言い換えたようなものである。ある生産を行う場合に,物やそこに働く自然科学的な力を選び出して結合する。この結合の仕方が特定の生産方法を規定することになる。「新結合」とは,この結合を変えることによって生産物や生産方法を新しいものに変えることを指すが,「新結合」が非連続的な場合に経済発展が起きるというのが,シュンペーターの「新結合」概念の核心である。

『科学技術・イノベーション政策のために(第5回)シュンペーター,イノベーション,技術革新』科学 88 (4), 416-423(2018年、岩波書店)

https://rihe.hiroshima-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2021/06/Kagaku_201804_Kobayashi.pdf

新結合というのは、新しい生産活動=新しいビジネスと捉えれば良さそうです。その新しいビジネスには5つの類型ある、というのがシュンペーターの主張で、それは以下のようになります。

上記の日本語訳は1937年のものですので、もう少し今ぽい表現を探すと、以下のようになります。(参考:名和高司『資本主義の先を予言した 史上最高の経済学者 シュンペーター』(2022年、株式会社日経BP))

  1. 新しい財(商品)の提供
  2. 新しい生産方式の導入
  3. 新しい販路の開拓
  4. 原料の新しい供給源の獲得
  5. 新しい組織の実現

この中のどれか、または複数を実現でき、それが社会実装できればイノベーションということになります。

これをビジネスの観点で見るともう少し分類ができそうです。

 

A、製品やサービスの企画、研究開発に関わるもの

1.新しい財の提供 + 2.新しい生産方式の導入 + 4.原料の新しい供給源の獲得

B、製品やサービスのマーケティングや営業に関わるもの

3.新しい販路の獲得

C、製品やサービスを生み出す組織に関わるもの

5.新しい組織の実現


このうち、デザインが関わるのはAやB、特に「1.新しい財の提供」や「3.新しい販路の獲得」になりそうです。もう少しくだくと、新製品の企画・研究開発やマーケティング・営業に関わるのがデザイン、となります。

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